リフォーム工房.comに戻る



見積りの見方の基礎知識

【見積もりの構成】
見積りは大きく分けて下記のような構成となっています

  工事費用
①材料・機器費
その名の通り工事をするのに必要な材料・機器費用

Ex;壁紙、タイル、キッチン、ユニットバス、洋風大便器等
②取付費
材料・機器を取り付けるための 作業員(職人さん)の費用

Ex;キッチン取付費、ユニットバス設置費、既設機器撤去費等
③経費
工事をするために掛かる会社の経費や利益

Ex;運搬費、雑費、諸経費等

見積もり構成の解説

①材料・機器費
屋根材や塗装に使う塗料、システムキッチンや便器、洗面化粧台などの“物”の費用
工務店がメーカーや代理店より購入した上記のようなものの材料費
一般的に材料や機器の定価はカタログなどで提示されているが、工務店は定価でそれらを購入している分けではありません。実際は定価の30~60%程度で購入しているものが多い。

原価=定価×30~60%
この30~60%といった割合を
『掛率』と呼びます。

では、一般的に流通している“物”の適正価格はどの程度なのか?
ある程度の市場価格の目安は『月刊 建設物価』で分かります。『月刊 建設物価』は書店に普通に売っています。
但し、市場に出ている物や材料を全て網羅しているわけではないので、代表的な材料の目安という位置付けとなります。
もう一つ注意が必要なのは依頼する専門工事業者によってそれらの“物”の調達力も異なってくるということです。
専門工事業者には幾つかのパターンがあります。
・卸売系の専門工事業者
・施工会社系の専門工事会社
・一人親方系


【ポイント】
・リフォームで利用されている“物”は定価で取引されている分けではない
・一般的に定価の数十%で取引されている
・専門工事会社により、得手不得手があり“物”の価格は変わってきます
・『月刊 建設物価』である程度の目安は分かる


②取付費
作業員(職人さん)が材料・機器を取り付けたり、物を組み立てたりするのに掛かる費用
ある程度の市場価格の目安は『月刊 建設物価』で調べることはできます。だいたい、作業員(職人さん)1人/日は2~3万です。それを目安に計算して1日数十人も職人さんが来ないとその金額にならないような見積もりの場合は、おかしいと思ってよいでしょう。
【ポイント】
作業員1日当たりの価格はだいたい2~3万円



③経費
専門工事業者の会社経費や利益です。
ですので、会社によって掛かる経費は異なるので、価格の妥当性を判断するのが難しいところがあります。
但し、「公共建築工事標準単価積算基準(国土交通省大臣官房官庁営繕部)」という国土交通省より出されている見積もり基準があり、そこである程度の目安は提示されています(公共工事の場合はこれに則らなくてはいけない)。
見積り中には『一式』と表記されており中身が分かりにくい項目が幾つかありますが、代表的な項目の考え方(公共建築工事標準単価積算基準)を下記に記載します。

【ポイント】
雑材費;(材料費)×5~10%
運搬費;(材料費+雑材料費)×3%
現場雑費;合計金額の10~15%(現場雑費を除いた合計金額)

《注意!》
上記はあくまで、基本的な考え方です。必ずしも「③経費」にのみ会社の経費や利益が計上されているわけではなく、「①材料・機器費」や「②取付費」にも振り分けられていることもあります。ただ、上記の考えに基づき査定をしていけば、結局は適正な価格に行きつくことは出来ます。

【コスト削減策】
○簡易なコスト削減策
・複数の工務店への見積もり依頼
この方法が特別な知識が不要で最も簡易で効果的なコスト削減策です。同じ工事の見積もりを複数社(最低3社)からとることで、全体金額は勿論、必要な見積もり項目や単価の比較までできます。場合によっては、気に入った会社へ最低見積もり金額を提示した会社の見積もりを見せることでその金額まで下げることも出来る事もあります。






○高度なコスト削減策
①機器支給
・照明器具や洗面化粧台などを自分で購入して専門工事業者へ支給して取付のみ頼む方法です。機器類は単純に代理店などから専門工事業者が購入して取付するだけでも(横流し状態)経費や利益がのってきます。その部分をカットするという考え方です。特に一般の人でも安価に簡単に購入できるものについてはこの方法が効果的です。
<機器支給が適しているもの>
・照明器具
・洗面化粧台
・エアコン

□発注イメージ図

②分離発注
・依頼する専門工事業者にも自前で出来る工事と出来ない工事があり、大規模なリフォームを依頼する場合は実はその専門工事業者(元請け)から別の専門工事業者(下請け)に依頼することも多々あります。例えばA+Bというリフォームを元請けに依頼する場合、元請けがBの工事を下請けに依頼するだけでもBという工事に元請けの経費や利益がのってきます。更にBという工事には下請けの経費が掛かってくるためにBという工事には元請けと下請けの両方の経費と利益がのります。そこを解消するために直接Bと契約を結ぶことで無駄な経費や利益を削減することが出来ます。これが分離発注です。
<一括発注状態>
工事費= 工事原価A×○○%(元請け経費・利益) +(工事原価B×○○%(元請け経費・利益))×○○%(下請け経費・利益)
<分離発注状態>
工事費= 工事原価A×○○%(元請け経費・利益) +(工事原価B×○○%(元請け経費・利益))×○○%(下請け経費・利益)

□発注イメージ図

③VE(value engineering);性能を変えずにコストダウンを図ること
機器などの性能は変えずに安価な同等品へ変更すること。かなりハイレベルなコスト削減策です。

・材料・機器のメーカーを変更する
 →大手メーカーよりマイナーメーカーへ変更する
 →構成部材を変更する(例えば、キッチン天板を天然大理石より人造大理石へ変更)
・配管材料やケーブル種類を変更する
 →かなり高度ですが、配管材料をSUS(ステンレス)から鋼製へ変更するなど

④見積もり査定
・冒頭に記載したように『月刊 建設物価』と各種経費率を計算して算出することで、見積もりを査定することが出来ます。


実際には上記のコスト削減策を組合せながらコストダウンを図ることになります。
最も手っ取り早いのは『○簡易なコスト削減策 複数の工務店への見積もり依頼』+それをもとにした『④見積もり査定』が簡易なのでそこから始めてみましょう!

※注意点;専門工事店は、基本的に売り上げを上げたいため金額が落ちる提案は積極的にはしてきません。また、『性能を変えずにコストダウン』は基本的に配管ルートを変更したり、基礎を兼用したりと本当に“性能を変えず”に実施することは非常に困難です。
従って、本来であれば信頼できる工事店と長く関係を築くことが大切ですが、一般家庭でそのようなことが出来ている人は、ほぼいないでしょう。
そうであれば、信頼できる知り合いの専門家に依頼するなど対応をする必要があります。



このページの先頭へ











inserted by FC2 system